沖縄県によれば、県内の島の数は691(国土地理院・令和5年2月28日発表)。 そのうち指定離島は54島、有人島は38島で、指定離島の人口は 13万1,901人(県人口の約8.9%)です(令和4年1月1日現在)。

離島で暮らすということは、生活の前提に「船」があるということです。 そして台風が来れば、その船が真っ先に止まります。

このページは、本島向けの台風の備えを読んだうえで、 離島では何が違うのかを足すための記事です。

船が止まると、何が止まるのか

沖縄県は離島航路について、「地域住民に必要な公共交通手段を確保するため」 事業者への補助を行っていると説明しています。県が補助してでも維持する対象、 つまり離島航路は生活に不可欠なインフラとして位置づけられています。

そのインフラが止まると、連鎖して止まるものがあります。

  • 食料・日用品の入荷(島の店の棚は、船で運ばれてきたもので成り立っています)
  • 燃料の補給
  • 通院・出張・帰省などの移動
  • 郵便・宅配便

本島なら「台風が過ぎれば翌日には店が開く」かもしれません。 離島では、台風が過ぎてから船が動き、荷が届き、棚に並ぶという順序を踏みます。 海が荒れていれば、台風が去ったあとも欠航が続くことがあります。

だから、備える「日数」が違う

沖縄県は家庭での備蓄について、飲料水を1人1日3リットル・3日分、 大規模災害時には1週間分が望ましいとしています。 また台風対策として、こう案内しています。

台風の停滞等で長期間外に出られない時や緊急避難に備えて、食料品、飲料水、薬、 カセットコンロ(カセットボンベ)、携帯ラジオ、懐中電灯(乾電池)、衣類、貴重品などを 用意しておく

ここで離島の人が読み替えるべきなのは、「長期間」の長さです。 本島での「長期間」は台風が抜けるまで。離島での「長期間」には、 そのあと船が再開して物流が戻るまでが加わります。

3日分を目安に考えるのではなく、1週間分を基準に置くほうが実態に合います。 特に次のものは、切らすと代わりが効きません。

  • 常用薬(最も重要です。次の項で詳しく)
  • 乳児のミルク・離乳食、おむつ
  • 介護用品
  • ペットフード
  • カセットボンベ、電池

常用薬は「台風の前に」ではなく「常に」余裕を持つ

離島で最も深刻なのがです。船も飛行機も止まれば、島外から薬は届きません。 台風接近を見てから病院に走っても、その日には間に合わないことがあります。

  • 残量が減ってから受診する習慣をやめる。 常に数日〜1週間の余裕を持って受診しておく
  • 台風シーズン(8〜9月)に入る前に、かかりつけ医と相談しておく
  • お薬手帳は、避難時に持ち出せる場所に置いておく

これは台風のたびに慌てる話ではなく、平時の受診サイクルの問題です。

救急搬送 ── ドクターヘリの運航範囲を知っておく

沖縄県は、平成20年12月から浦添総合病院救命救急センターにドクターヘリを導入しました。 ここで重要なのが、その運航範囲です。県はこう記しています。

沖縄本島全域及び本島周辺離島を運航範囲として導入しました

つまりドクターヘリがカバーするのは本島と本島周辺の離島であり、 宮古・八重山など先島の島々は、この運航範囲の外にあります。

県は離島・へき地の救急医療体制について、ドクターヘリと 自衛隊ヘリによる急患空輸の連携により充実が図られている、と説明しています。 島で対応できない急病・けがは、空路での搬送を待つことになるのが離島の現実です。

そして、台風の暴風下ではヘリも飛べません。

だからこそ、離島では次のことが本島以上に効きます。

  • 持病・服薬・アレルギーの情報を、家族以外にも分かる形にしておく (お薬手帳、緊急連絡先を書いたメモを冷蔵庫に貼るなど)
  • 無理をしない。 台風接近前に体調の不安があれば、早めに受診しておく
  • 島の診療所の診療時間と連絡先を、家族全員が知っている状態にしておく

島の中でも「逃げる場所」を確認しておく

離島は面積が小さく、高い場所が限られます。 地震・津波の記事で触れたとおり、 1771年の明和の大津波では八重山地方で9,313人、宮古島地方で2,548人が犠牲になりました。 これは他人事の歴史ではなく、この地域で実際に起きたことです。

  • お住まいの市町村の防災マップで、津波災害警戒区域と避難場所を確認しておく (石垣市の場合は防災危機管理課が防災マップを公開しています)
  • 徒歩で行ける高い場所を、家族全員が知っている状態にしておく
  • 港や海沿いの職場にいるときの避難先も、別に決めておく

まとめ ── 離島で足すべきこと

本島向けの備えに、次を上乗せしてください。

  1. 備蓄は3日分ではなく1週間分を基準に(船の再開までを見込む)
  2. 常用薬は常に余裕を持つ(台風前ではなく平時の受診サイクルで)
  3. 急病は空路搬送になり、暴風下では飛べないことを前提に、無理をしない
  4. 防災マップで避難場所を確認しておく

この記事で扱っていないこと

船や飛行機の運航状況、いまの気象・災害情報は、このサイトでは扱いません。 運航状況は各事業者の公式発表を、災害情報は公式の最新情報を確認してください。 避難の判断は、お住まいの市町村が出す避難情報に従ってください。