「沖縄は地震が少ない」と感じている人は多いはずです。体感できる揺れが本土より少ないのは 事実ですが、津波のリスクまで小さいと考えるのは誤りです。それを示す歴史が沖縄にはあります。
1771年、実際に起きたこと ── 明和の大津波
石垣島地方気象台の記録によれば、1771年4月24日午前8時ごろ、石垣島近海で マグニチュード7.4の地震が発生しました。特徴的なのは、 地震の揺れによる被害はなかったことです。
しかし、そのあと大津波が八重山諸島・宮古諸島に押し寄せました。 死者・行方不明者は八重山地方で9,313人、宮古島地方で2,548人、合わせて11,861人。 石垣島では人口の48.6%が亡くなるという、日本の津波災害史でも有数の被害でした。
この津波は、推定500〜600トン以上のサンゴ石灰岩の大石を海から陸へ運びました。 「津波石」として、いまも石垣島などに残っています。津波の力とはそういうものです。
ここから引き出すべき教訓は2つあります。
- 沖縄にも、1万人が亡くなる規模の津波が実際に来たことがある
- 揺れが小さくても、大津波は来ることがある(明和の大津波がまさにそうでした)
自宅と職場の「海抜」を、今日調べておく
津波への備えは、モノより先に知識の備えです。具体的には、 自分が日常を過ごす場所について次の2つを知っておくことです。
1. 海抜(標高)を知る
沖縄の沿岸部では、電柱や公共施設に海抜表示板が設置されている地域があります。 通勤路や自宅の近くで探してみてください。国土地理院の地図サイトでも標高は確認できます。
2. 津波浸水想定を見る
沖縄県は、津波防災地域づくりに関する法律に基づく 津波浸水想定(平成27年3月公表)を公表しています。 最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合の浸水区域と水深を、市町村別の図で確認できます。
ただし、県自身が重要な注意を付けています。
これよりも大きな津波が発生する可能性がないというものではありません
浸水しないと予測された地域であっても、実際には浸水する可能性もあります
つまり浸水想定図は「ここまでは安全」という保証書ではなく、 「少なくともここは危ない」を知るための道具です。読み方を逆にしないでください。
あわせて、お住まいの市町村のハザードマップと指定緊急避難場所 (津波避難ビルを含む)も確認しておいてください。市町村の防災ページ、または 緊急時リンク集の避難情報の項から辿れます。
揺れたらどうするか ── 気象庁の原則
避難の判断はこのサイトの役割ではありません。ここでは、 気象庁と沖縄気象台が公表している原則をそのまま紹介します。
気象庁「津波から身を守るために」より:
- 強い揺れを感じたら、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難する
- 弱くても長いゆっくりした揺れを感じたら、同じく直ちに避難する (明和の大津波のように、揺れの被害がない地震でも大津波は来ます)
- 津波は見てから逃げるのでは間に合いません
- 津波は繰り返し襲ってきます。あとから来る波のほうが高くなることもあります
- 津波は「引き」から始まるとは限りません。潮が引かないから大丈夫、ではありません
沖縄気象台「大地震・津波に対する心得」より:
- 強い揺れや津波警報を受けたら、すぐに海浜から離れ、急いで安全な場所に避難する
- 「ここなら安心」と思わず、より高い安全な場所を目指して避難する
- 津波注意報でも、海水浴や磯釣りは行わない
- 警報・注意報が解除されるまで気をゆるめない
沖縄ならではの落とし穴
- ビーチ・釣り・マリンレジャー中は、揺れに気づきにくい。 海の中や波打ち際では揺れを感じられないことがあります。周囲の人の様子や 防災無線・スマホの緊急速報に気を配り、少しでも異変を感じたら海から上がってください。
- 車社会ゆえの渋滞。 沿岸部から全員が車で逃げようとすれば道路は動かなくなります。 徒歩で行ける高い場所・津波避難ビルを普段から把握しておくことが、車前提の生活でこそ効きます。
- 観光客は土地勘がない。 家族や友人が沖縄に遊びに来たとき、 「揺れたら高いところへ」を一言伝えておくだけでも意味があります。
この記事で扱っていないこと
地震・津波の発生状況、津波警報・注意報は、このサイトでは扱いません。 必ず気象庁など公式の最新情報で確認してください。 避難の判断は、気象庁の警報と、お住まいの市町村が出す避難情報に従ってください。