沖縄では集合住宅に住む人が多く、賃貸なら壁にネジを打てないことも珍しくありません。 集合住宅には、戸建てとは違う危険と対策があります。
高い階ほど、家具は「倒れる」だけでなく「動く」
東京消防庁は、長周期地震動をこう説明しています。 規模の大きい地震では周期の長いゆっくりとした揺れが生じ、 高い建物は固有の揺れ方がこの長い波と合ってしまうため、揺れが増幅されます。
そして調査結果が明快です。
高層階になるほど家具類が転倒・落下・移動している割合が高くなる
東日本大震災後の東京都内の調査でこの傾向が確認され、熊本地震のデータでも (免震構造でない建物で特に)同じ傾向が裏づけられています。
ここで見落とされがちなのが「移動」です。 倒れなくても、冷蔵庫やタンスが床を滑って移動します。 避難経路をふさいだり、人にぶつかったりします。
家具の固定の記事で書いた転倒防止に加えて、 高層階では移動防止も必ず行ってください。 東京消防庁は、ネジ止めできない場合のポール式器具について 家具の両端で、できるだけ奥側に設置することを勧めています。
エレベーターは止まる
東京消防庁は、マンションのリスクとしてこう挙げています。
震度4程度以上の地震が発生した場合、エレベーターが停止し、閉じ込められる
そして、その影響は閉じ込めだけではありません。
エレベーターが停止すると、ケガ人を地上まで運ぶのが困難になる
高層階でけが人が出ると、救助にかかる時間・人手が大きく増えます。 家具を固定することが、そのままけが人を出さないことにつながる—— 高層階で家具対策が特に重要なのは、この理由もあります。
対策として東京消防庁が挙げているのは次のとおりです。
- エレベーター内に、水や携帯トイレを備えた防災キャビネットを備える (管理組合で検討する話です)
- マンション全体で搬送用の担架を備えておく
閉じ込められた場合は、インターホンで通報して救助を待ってください。 無理にこじ開けようとしないでください。
なお台風による停電でもエレベーターは止まります。 停電の記事とあわせて、 階段で上り下りする前提の生活を想定しておいてください。
防音性が高いと、助けを呼べない
これは言われないと気づきにくい点です。東京消防庁はこう指摘しています。
防音性が高いマンションでは助けを呼ぶ声が聞こえない
家具の下敷きになっても、隣に声が届きません。だからこそ、 居住者どうしの安否確認の体制をつくっておくことが重要とされています。
個人でできる備えとしては、ホイッスルを寝室に置いておくのが有効です。 声を出し続けるより体力を消耗せず、壁越しでも届きやすくなります。
火災のリスク
東京消防庁は、地震で建物が損傷した場合の火災リスクも挙げています。
- 壁・窓や玄関ドアなどの防火戸が壊れると、火が燃え広がる
- 消火設備や警報設備が動かないことがあり、火事の発見が遅れたり、 消火や避難が困難になったりする
普段は建物の設備に守られていますが、地震後はその前提が崩れるということです。 避難経路(階段の位置)を、エレベーターに頼らない形で把握しておいてください。
水は「止まる」前提で
集合住宅では、停電がそのまま断水になります。 加圧ポンプが電気で動いているためです。詳しくは 断水への備えの記事にまとめました。
高層階ほど深刻です。 断水したとき、水を階段で運び上げることになります。 1人1日3リットルの飲み水を4人分・3日分なら36リットル。 これを10階まで運ぶ現実を、一度想像しておいてください。 普段から部屋に置いておくことが、そのまま対策になります。
管理会社・管理組合に確認しておくこと
- 受水槽・加圧ポンプの停電時の扱い(非常用電源があるか)
- エレベーターの地震時の復旧手順(誰が呼ぶのか)
- 防災備蓄の有無(あるなら、どこに何が)
- 安否確認の方法(マグネットやドアノブ札を使う例があります)
賃貸なら管理会社、分譲なら管理組合が窓口です。 台風シーズンの前に一度聞いておくと、いざというとき慌てません。
この記事で扱っていないこと
建物ごとの構造・設備の状況は、このサイトでは判断できません。 耐震性や設備については、管理会社・管理組合、または専門業者にご確認ください。 地震・津波の発生状況や避難情報は公式の最新情報で確認し、 避難の判断はお住まいの市町村が出す避難情報に従ってください。