沖縄の台風で、家屋が壊れることはそう多くありません。しかし停電はかなりの確率で起きます。 そして厄介なのは、停電そのものより「いつ復旧するかわからないまま過ごす時間」のほうです。

復旧の見通しは、台風の規模・被害の範囲・強風が収まるタイミングによって大きく変わります。 強風のなかでは作業員が電柱に登れないため、風が収まるまで復旧作業自体が始められないことがあります。 「何時間で復旧する」と決め打ちせず、数日続いても困らない状態を作っておくのが現実的な備えです。

沖縄では、令和5年の台風第6号のときに停電を理由として災害救助法が適用されたこともあります。 停電は「不便なだけ」で終わらず、制度が動く規模になりうるということです。 被災後の手続きは台風で被災したら ── 窓口はどこかにまとめました。

台風が近づく前にやっておくこと

台風が近づいてからでは、店頭から物が消えます。 進路予報が出てから動くのではなく、接近の話が出ていない平時のうちに済ませておくのが理想です。 シーズンに入ってからでも、次の台風までの晴れ間が準備の時間になります。

1. 停電情報の受け取り口を先に作っておく

沖縄電力は、停電マップに加えて LINE とメールでの停電情報配信を提供しています。 停電してから登録しようとすると、通信が不安定だったりスマホの電池を消耗したりで手間取ります。 沖縄電力の停電情報ページから、平時のうちに登録を済ませておいてください

2. 明かりを「握らなくていい形」で用意する

懐中電灯は片手がふさがります。停電中に困るのは、料理・トイレ・子どもの世話といった 両手を使いたい場面です。ヘッドライトや、置いて周囲を照らせるランタン型のものを 1つ加えておくと、体感が大きく変わります。

火を使うろうそくは、停電中の暗がりでは転倒・引火のリスクがあります。使うなら安定した場所に置き、 就寝時は必ず消してください。

3. 電池と充電の在庫を「使いながら」確保する

沖縄県は非常持ち出し品として予備電池と携帯電話の充電器を挙げています。 モバイルバッテリーは自然放電するので、買って仕舞い込むより、普段使いしながら残量を保つほうが確実です。

冷蔵庫や扇風機まで動かしたい場合は、ポータブル電源という選択肢もあります。 高価な買い物なので、何を何時間動かしたいのか(スマホの充電だけか、扇風機か、冷蔵庫か)を 決めてから容量を選んでください。冷蔵庫を動かすには、スマホ充電用の小型機では容量が足りません。

4. 水を確保する

沖縄県は飲料水を1人1日3リットル・3日分を目安として挙げています。 大規模災害時には1週間分が望ましいとされています。

停電すると、給水ポンプが止まってマンションや高台の住宅で水が出なくなることがあります。 断水そのものが起きなくても、です。県も生活用水の確保として 「お風呂の水をいつも張っておく」「水道水を入れたポリタンクを用意する」ことを勧めています。

台風接近が見えた時点で浴槽に水を張っておけば、トイレを流す水が確保できます。 小さな子どもがいる家庭では、浴室に鍵をかけるなど溺水対策とあわせて行ってください。

5. 食料は「火も電気も使わずに食べられるもの」を混ぜる

沖縄県は常食3日分として、アルファ米・ビスケット・板チョコ・乾パンなどを例示しています。 カセットコンロがあれば温かいものが食べられますが、調理が要らないものを一定量混ぜておくと、 停電が長引いたときや、暑さで火を使いたくないときに助かります。

台風が近づいてからやること

冷蔵庫は「開けない」が最大の対策

停電したら、冷蔵庫・冷凍庫のドアをできるだけ開けないでください。 開けなければ庫内は冷気をしばらく保ちますが、開けるたびにその余力を失います。

接近が見えた時点で、次の準備をしておくと開ける回数を減らせます。

  • 保冷剤や、水を入れたペットボトルを凍らせておく(冷凍庫の保冷力が上がり、溶ければ飲み水にもなる)
  • よく使うものを冷蔵庫の手前にまとめる(迷って長く開けなくて済む)
  • 停電中に食べるものは、冷蔵庫の外にクーラーボックスとして分けておく

復旧後、冷凍品が溶けて再凍結していた場合や、においや見た目に違和感がある場合は、 惜しまず処分してください。停電後の食中毒は、暑い沖縄では現実的なリスクです。

充電は「満タン」で迎える

スマホ、モバイルバッテリー、ポータブル電源をすべて満充電にしておきます。 停電してからでは充電できません。

停電したら

1. まず、自分の家だけかを確かめる

沖縄電力は、停電時は落ち着いて隣近所を確認することを案内しています。 近所も一緒に暗ければ、電力側の停電です。自分の家だけが暗いなら、ブレーカーの可能性があります。

分電盤を見て、ブレーカーが落ちていないか確認してください。 ブレーカーが落ちているだけなら、電力会社の復旧を待つ必要はありません。

2. 停電情報を確認する

沖縄電力の停電情報で、市町村ごとの停電状況が地図で確認できます。 台風時はテレビ・ラジオ、県内のコミュニティFMでも地域ごとの情報が流れます。 スマホの電池を温存するため、ラジオが使えるならラジオを優先するのが賢明です。

3. 電気が戻ったときの事故を防ぐ

復旧は予告なく起こります。停電中に電源が入ったままの暖房器具やアイロンがあると、 不在時に通電して出火するおそれがあります。停電したら、使っていた電気製品の スイッチを切るかプラグを抜いておいてください。

避難などで家を離れるときは、ブレーカーを落としてから出るのが安全です。

4. 切れた電線には絶対に近づかない

台風後、垂れ下がった電線や倒れた電柱を見かけることがあります。 触れない、近づかない、車で踏まない。 沖縄電力または警察・消防に連絡してください。

断水も一緒に来ることがある

台風では、停電に加えて断水や濁り水が起きることがあります。 断水・給水情報と、台風通過後の節水のお願いは 沖縄県企業局から出ます。

なお、台風が去った直後は復旧作業のため水を使いすぎないよう協力が求められることがあります。 最新の状況は必ず公式で確認してください。

この記事で扱っていないこと

停電が「いま」どこで起きているか、いつ復旧するかは、このサイトでは扱いません。 その情報は刻々と変わるため、必ず沖縄電力の停電情報など 公式の発表でご確認ください。避難の判断は、お住まいの市町村が出す避難情報に従ってください。