防災の備えは、ひとまとめに「備蓄」と呼ばれがちです。 けれど沖縄県の案内をよく読むと、性格の違う2つが並んでいることがわかります。

備蓄非常用持ち出しバッグ
置き場所家(動かさない)玄関など、すぐ持ち出せる場所
いつ使うか家にとどまるとき家を出るとき
3日分〜1週間分背負って歩ける分だけ
沖縄で主に効く場面台風の停電・断水土砂災害・津波・火災

同じ「災害への備え」でも、片方は動かさないもの、もう片方は動かすものです。 そして沖縄では、災害の種類によって使う側が入れ替わります

沖縄では、台風と土砂で行動が逆になる

台風のとき、いちばん安全なのはたいてい家の中です。 窓とベランダの対策をして、 停電断水に耐える。 このとき効くのは備蓄で、持ち出しバッグの出番はありません。

ところが土砂災害では逆になります。 土砂災害警戒区域にいるなら、 その場所にいること自体が危険なので出る判断が要ります。 このときは背負って歩ける分だけが頼りです。

沖縄県は土砂災害の避難について、

持ち物は最小限に留め、荷物はリュックなどで背負い、両手が使えるようにしましょう。

と案内しています。両手が使えるというのが要点です。 雨のなか、暗いなかで歩くとき、手がふさがっていると転びます。 停電の記事でヘッドライトを勧めているのと同じ理屈です。

紙袋やトートバッグは避けてください。 リュックである必然性はここにあります。

非常用持ち出しバッグの中身

沖縄県が挙げている例です(人数分を用意)。

  • 飲料水、食料品(カップめん、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
  • 貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
  • 救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
  • ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手
  • 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
  • 衣類、下着、毛布、タオル
  • 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ

乳児のいる家庭は、ミルク・紙おむつ・ほ乳びんも加えるよう案内されています。 配慮が必要な家族がいる場合は高齢者・障害のある方・乳幼児がいる家庭の備えを、 ペットがいる場合はペットと防災もあわせてご覧ください。

このなかで、あとから代えがきかないのは常備薬と貴重品です。 食料や衣類は避難先で手当てされることがありますが、 処方薬は「同じものをすぐに」というわけにいきません。 お薬手帳(またはその写真)を一緒に入れておくと、避難先での相談が早くなります。

現金も同じです。停電するとキャッシュレス決済は使えません。 停電は沖縄の台風で最も高い確率で起きるので、 ここは実感を持って備えておいてよいところです。

備蓄の側は、別の記事に

家に置いておく側 ── 水の量、食料の選び方、台風前に品薄になるもの ── は、 買い出しはいつ行くか、何を買うかにまとめています。 沖縄県が挙げている目安は飲料水は1人1日3リットル・3日分、 大規模災害時は1週間分が望ましいとされています。

なお県は、備蓄について次のようにも書いています。

防災のために特別なものを用意するのではなく、できるだけ、普段の生活の中で 利用されている食品等を備えることが望ましいとされています。

特別な非常食を買い揃える必要はありません。 普段食べているものを少し多めに置き、 使った分を買い足す。台風のたびに一から買い出しに走るより、はるかに続きます。

詰めたら、そこで終わりにしない

持ち出しバッグは、作って満足してそのまま何年も置かれるのがいちばんよくある失敗です。

  • 食料・水・電池には期限があります。 台風シーズンの節目に一度開けてください
  • 子どもの服はサイズが合わなくなります
  • 常備薬は変わります
  • 中身を家族全員が知らないと、持ち出す人が違ったときに機能しません

停電情報の登録市町村の担当課の確認と同じで、 年に一度、台風シーズンの前に見直すだけで十分です。

この記事で扱っていないこと

避難所で何が配られるか、支援物資がいつ届くかは、災害の規模と地域によって変わるため扱いません。 避難情報の発令状況は公式の最新情報とお住まいの市町村の発表でご確認ください。

特定の防災用品の推奨や比較はしません。ここに挙げた中身は沖縄県が示している例です。 持病のある方の薬・医療機器の備えについては、必ずかかりつけの医療機関にご相談ください。